第12章 新たな刺客
その約束を考えるとテゾーロやドフラミンゴはもちろん、特にルフィ、エースと兄弟であるサボなんて関わりを絶たなければならない。だから護衛の契約も、彼に持ちかけられたトモダチだなんて断らなければならなかった。
しかし、今回別の問題が出来てしまった。私と同じ現代から来たであろう存在が、この世界に対して良くない企みを持っているのだ。グラン・テゾーロを襲撃した上に革命軍を狙っている以上良くないに決まってる。
しかも私の素性に加えて天竜人の奴隷であることも知られている。このことを知っているのは私を助けたテゾーロ含むこの船の人間と『青年』。情報が漏れている可能性も否めないが、もしそうならテゾーロの立場上すぐに報道されるだろうし、何より彼の情報網がそれを許さない。
そしてそもそも彼らがどうやってこの世界に来たのかも不明だ。『青年』が連れてきたとは思えないし、その手助け無しに何故来れたのだろう。まあそれは『青年』なら心当たりあるかもしれない。
ともかく、無視できない大きな問題が出来たこと。そしてTHE REOROの騒ぎようを思うと簡単に打ちのめせる敵とは思えない。今回は私は殺さないと言われたが、彼らの気まぐれで……いやこの世界そもそもいつ死んだって不思議じゃない。
そう考えると、少しでも味方を、革命軍との接点を増やすためにも──サボとトモダチになることは懸命だと私の中で思えた。
「……ハハハ、驚いたな。本当にいいのか?」
「虫が良すぎるのはわかってる。でも脅してでもなりたかったんじゃなかったっけ?」
そう少しからかうと彼は口元に手を添えクツクツと喉を鳴らすように笑った。それまではまだこちらにほんのりと疑いの目があったように見えたがそれはもう溶けたように思う。
「成程な、レイズ・マックスが買ってた理由がわかったよ。」
「?」
「ああいや──願ってもない、よろしくな!」
彼はそう言うと私の手をガッチリと掴んだ。今度は骨の軋みも、痛くもない……正しく等しく、交渉されただろう。両者ともにそう感じていた。目と目を合わせそう感じ、ゆっくりと手が離れる。
「そういえば、連絡はあったのか?」
「?、連絡……ああそうだった!テゾーロ──は大丈夫だろうけど無事かな?そろそろ連絡あってもいいと思うんだけど。」
『名前』は思い出したように電伝虫を探った。