第12章 新たな刺客
……
場所は変わってダウンタウン、その中の路地裏の一つのWILD COWに向かえる道筋にて。こそこそと動き周囲を気にしつつ、しかしほくそ笑む男らがいた。
「……にしてもよ、こんな簡単な依頼で500万ベリーも貰っていいのか?」
「ハッ、ンなもん俺達には関係ねェ!あの店で暴れるだけなんて美味しい話乗るしかねェだろう!?そろそろ他の奴らも暴れきっただろうし、急ごうぜ!」
そうして下卑た笑いをあげながらWILDCOWに向けて走る男ら2人。だが突如、そんな油断した彼らの真正面にサボが現れ容易に打ちのめした。
「残念だがそれは諦めてくれ!」
「えっ……ぎゃああああ!?」
「なっ誰だおま…………うわあああ!?」
よし、と物の数秒でサボの持つ鉄パイプで地に伏せられた後、彼が来た方を振り返るとゆっくりと物かげから続いて『名前』が現れた。彼女の目が少し輝いている。
「ありがとう、凄い……動きが鮮やかだね。」
「ハハハ、これくらいなんてことないさ。それより凄いな、今のところ全部見抜いてる。」
2人はあの電話を受けてダウンタウンに移動し、WILDCOW周辺を動き回り、襲撃を未然に防いでいた。『名前』は変装または隠密に動く暴動者らを見抜き、サボがそれらを颯爽と片付けていく。
現世および漫画などからこの世界を見てきた、『名前』の目から見れば明らかに怪しくても、どうやらこの世界を生きるものにとっては彼らの変装は効果的らしい。……勿論、サボの目利きがどれほどのものかは不明だが。
「……ここにいるうちに目が利くようになったのかもね。でもこれで多分50人くらいは倒したんじゃないかな……数もだいぶ減ってきてるし。」
確かに、と納得しつつ彼は気を失った男らを適当に縄でくくって隅へ投げる。最初のほうは大人数で来ていたものの、サボが次々と倒していくうちに来る人数が減りつつある。ダウンタウンを襲撃と言いつつもWILDCOW周辺に来るまで暴れる様子は無かった。彼らの言動を察するに、無事に守れたのではないだろうか。
「そろそろ30分は経つし……THEREOROも無事終わってるといいんだけど。」
「"こいつら"を考えると本命はそっちみたいだな、少し経ってもう来なけりゃ移動するか。」
「うん……。(ずっと思ってたけれど、さっきの会話、何か引っかかるような……。)」