第12章 新たな刺客
そうしてサボと"トモダチ"になった『名前』は喫茶店を後にして、THE REOROまで送って貰うことになった。
「ありがとうございます、送ってくれて。」
「礼には及ばないさ、それよりさっきはありがとう。今度は俺から奢らせてくれ。」
彼はそう言うとまるで何処かの王子のようにニカリと笑う。流石は貴族出身、これで何人の人が彼に落ちたんだろう。彼の背に煌びやかな星々が見えた気さえした。その眩しさに目を細めつつ適当に返事する。
「……楽しみにしてます。」
「ああ!少し聞いておきたいんだが、俺のことってもう船に知れ渡っていたりするのかな。」
「?、 "革命軍のサボ"という存在はこの船というか世界においてほとんどの人に知られていると思いますけど。」
「ああ〜……ええと、今日初めて会った『名前』でも俺の事知ってただろう?俺が乗船していることまで気づかれているのかと思ってな。」
「!」
彼が言いたいことに『名前』は気づきハッとする。そうか、彼は今後レイズ・マックスからの頼みで私の護衛をすることになる。その場合、彼の立場上この船の船員やタナカさん、バカラさんやテゾーロに知られていたとしたら間違いなく目をつけられるだろう。
どうやって彼がここに潜入したかは知らないが、私の護衛はともかくそもそも革命軍はテゾーロが掌握する世界の通貨の20%にあたる、通称テゾーロマネーを狙っているはずだ。彼自身にまた別の任務がある。
レイズ・マックスは私の作為もあり彼自身の娯楽として、客としてこの船に紛れ込んでいるから問題ない……だがサボとなればテゾーロらにとって話は別だ。顔が認知されていると少し面倒になる。
だから聞いてきたのだろうが……今のところサボの字をバカラさんの持つスペシャルリストでは見ていない。彼がもし潜入していればそれらしき噂や話が私にも入ってくる。それが無いということは今はまだバレていないだろう。
「そうですね……今のところ貴方についての話は聞いていません。微力ですがレイズ・マックスのように私から少し手を加えておきます。」
「そうか、恩に着るよ。」
「いえ、護ってくださる以上このくらい当然ですよ。ただしあまり大きいことをされるともう私には庇いようがないので気をつけてくださいね。」
「ああわかってる。」
返事はいいが彼はルフィの兄弟、本当にわかっているのだろうか