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【ONE PIECE】2 yars a GOLD

第12章 新たな刺客


「お前が産まれる前の話か?そうだな、今よりは世界政府の圧力が強かったように思う。」
「世界政府……。」

『名前』は何気なく過去を聞いたがそう言えばそれより前は彼が私ぐらいの年齢、私が生まれてすらいない世界になるのかとハッとした。

ゴールド・ロジャーが海賊王まで上り詰めるまでのこの世界がどのように表現されていたか。過去に読んだ原作を何となく思い出しつつ、当時を当たり前に生きていたテゾーロを『名前』は少し羨ましく思った。

その様子をテゾーロは微笑ましくみつつ、しかし当時の自身の苦い生涯が少し思い返されたのでそれ以上話を掘り下げるのを辞めた。

「……私はあまり詳しくないからな、タナカにでも今度聞くといい。」
「ええ、そうします。」

『名前』がそう返すと部屋にはしばらく沈黙が訪れた。ソファに身体を任せ気を抜く『名前』と少し気難しそうな顔で空を見るテゾーロ。互いにずっと気が抜けないでいたのもあるかもしれない。

「……(どうかもう何も、起こらないでいてくれたらいいんだけれど。)」

『名前』は『青年』の無事を思いつつ目を閉じ一度世界を後にした。



……



そして日を跨ぎ、昼頃。あれから『青年』から連絡は無く、麦わらの一味についてやエースについての続報も無く。『名前』はいつものように商談を終え、人が行き交う街中をよそに壁にもたれつつ新聞を見て続報を待っていた。

依然として不安だが私にはどうすることも出来ない。ただただ『青年』が元通りにするのを待つしかないのである。とはいえ不安なのは変わらない、かといって取引先と対話する以上ある程度は世界の状況に目を通さなければならない。

私はそのザワつく気持ちを抑えるためにテイクアウトした珈琲を飲みつつ何度か乱れかける呼吸を整える。

「もしも失敗したとしても、せめてルフィ達が何も無ければ……。」

私には何も出来ないというのに、いつも通りの苦味で平常心を保つのに精一杯だ。とにかく私はただ、『青年』が上手くいくよう祈るしかない。『名前』はため息を吐きつつ眉間に人差し指の第2関節をあて鼓動を落ち着けるのに必死になった。


「───随分具合悪そうだな、大丈夫か?」


突然、頭上から声をかけられ見上げると「え、」と私は言ったきり固まってしまった。
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