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【ONE PIECE】2 yars a GOLD

第12章 新たな刺客


『名前』がそう言いぽたぽたと涙を零すのを『青年』は否定も肯定もせずに見ていた。

確かに彼が今まで現世から連れてきた人達の多くはどんなに別の意思や目的だろうと共通してエースの死を回避する者が多かったように思う。

だが『青年』の目から見ても、漫画の姿だけではなく彼自身が見てきたルフィを考えると『名前』の意見は否定できない。それは1番"正史"が表している。

『青年』はふう、と一呼吸してから『名前』の座るソファの前にある、テーブルの向かい側に立ち屈んで彼女の涙を人差し指で拭った。『名前』は自我を制御できていないと気づき無理に笑顔を作る。

「!ごめん、こんな言い方性格悪すぎるよね。」
「彼の死には皆そうなるよ。正史を、未来を知ってる限り……答えなんてないさ。」
「……」

彼女がそれに答えないのを知っていたように『青年』は安心させるようニコリと微笑む。『名前』もそれをどこかで感じとっていたのか涙を止め、気持ちを落ち着かせることが出来た。

「とにかく……普通のワンピースの世界ならまだしも、ここは映画の世界。俺が思っていた以上に不安定なのかもしれない。それにこんな風に急に変化してしまう可能性はどの世界においても言えるからね、俺の責任だよ。」
「……何をするの?」

心配そうにする『名前』に大丈夫だよと彼はまた微笑んだ。

「なに、処刑日から1週間ズレただけだ。ちょっと拗れてしまった糸を解すだけだよ。最初に言ったと思うけど……俺の絵柄をこんなに変えたのは世界に──作者に認知されないため。こういう時の為でもあるんだ。」
「……」

そう言い両腕の筋肉を伸ばしほぐす『青年』を見て、『名前』は彼と初めて会った日のこと、そして彼が今までどれだけ連れてきた誰かのために努力したのだろうと、ただその生涯に圧倒されていた。

「ただまあ……万が一もある。その時はちゃんと連絡するし"応急処置"をしよう。」
「──"応急処置"?」

「ああ、あんまりこの方法はしたくないから……その時が来たらね。後味本当に悪いから知らないでいいよ。」
「わかった、その時は連絡して欲しい。」
「勿論。」

『青年』がぼかしたということは余程起こらずして良いことなのだろう。『名前』はそれ以上追求するのはやめた。
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