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【ONE PIECE】2 yars a GOLD

第12章 新たな刺客


「!?」
「──わかったから落ち着け!動揺する気持ちは分かるけど君に何が出来る!?」

そう彼から真正面から言われて『名前』はそこで初めて我に返った。そうだ、まだ私が権力者ならまだしも映画限定キャラクターの船に乗る、ただの一端の人間が出来ることなんて何も無い。

「……!」
「大丈夫、もしエースが既に処刑されていたなら世界政府に圧力をかけられていたとしてもあのモルガンズなら逆らう!それほどの重要人物なんだ、世界にとっても───物語にとっても!」

『名前』はこの世界を網羅した『青年』の言うことなら、そしてだんだんと冷静になっていたために黙って聞いていた。

「それにそんなこと、麦わらの一味の助けになりたいと願った君を連れてきた"俺"が許さない。大丈夫、最悪俺が何とかするよ。」
「……」
「それともいろんな君みたいな人を連れてきて、いろんなパラレルワールドを巡ってきた俺の言うこと、信じられない?」

『名前』は目に溜まった涙を必死に堪えながら首を振り彼の言葉に返事をした。それをみてホッとして『青年』は表情をほころばせる。

『青年』はそのままさっきまで自身が座っていたソファに『名前』に移動させ彼女を座らせた。

「君が焦るのも当たり前だよ、だってあの"エース"だ。海賊王ゴールド・ロジャーの息子であり、白ひげ海賊団の船に乗る───そして、君の大好きな麦わらの一味の船長のお兄さんなんだからね。」

『青年』はどこからか取り出したエースの手配書を手渡してきた。戸籍上の本名ではなくポートガス・D・エースと記されている手配書、まだ彼の名の上にDECEASEDの刻印はされていない。

「……私自身、ずっとドフラミンゴとかクロコダイルのこととかでいっぱいで……そのうえ大怪我してしまったから、彼のこと全然気にできなかった。」

「普通なら一大イベントだからね、連れてきた人の多くは彼の死を回避することが当然のように目標にあるし……。」

「──私、変だよね。」
「え?」

彼女は堪えていた涙をぽたぽたと手配書の上に落としていく。

「漫画を読んでた時、エースが死んだとき凄くショックだった……けど彼の死が大きくルフィを変えたとも思うんだ。」
「……」

「……エースの死は回避してはいけない気がしてしまう、人の死なのに最低だ。」
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