• テキストサイズ

【ONE PIECE】2 yars a GOLD

第12章 新たな刺客


衝撃的なニュースを受け、事実に驚くもこの立場では何も出来ない『名前』は無事職場に復帰し難なく仕事をしていた。頭をぶちのめされ多少ブランクがあったとはいえ、大きな変化はない。むしろテゾーロたちによる新入りの躾も終わり、船に馴染んだことで騒動前より環境は順調になっている。

だが、私はそれどころじゃなかった。

自室のデスクの前で、『名前』は今日出た世界経済新聞を手に焦りからでた汗でシミを作る。

麦わらの一味が逃げ出したあの報道から───1週間が経ってしまった。

シャボンディ諸島編……麦わらの一味は天竜人を殴ったことにより海軍大将、黄猿が呼ばれ危機に陥る。彼らはバーソロミュー・くまにより助け出される形でそれぞれが一度違う道を歩む……それが正しい物語。

しかし麦わらの一味は無事に逃げ出せてしまった。新聞には海軍の指示を受けたのか、七武海として くまがその後を追う形になっている。

現時点での麦わらの一味の戦力を考えると、逃げ切ることは厳しい。そして七武海の一人が後を追うとはいえ完全に事後処理を任せるとなると海軍大将の面目が丸つぶれだ。黄猿も麦わらの一味を追っているだろう。

数日後には くまが無事に彼らを逃がせば物語は元に戻る……そう思っていた。だが私は肝心なことを忘れてしまっていたのだ。

物語通りならば麦わらの一味が散り散りになって1週間後の今日は──

「思い出した、今日はエースの処刑執行日……!」

そうして新聞を読み漁るも相変わらず麦わらの一味は逃げているとばかり、ほかには専門家らしき人が述べる逃亡を許した海軍への非難──エースは一体どうなった?

「どうなってるの!?だって彼の生まれを考えたらこんなこと……」
「──あれから体調は大丈夫?『名前』。」
「『青年』!?」

記事に取り乱している『名前』に対して冷静に、以前現れた際と同じようにソファに座りくつろぎつつ彼は現れた。いつもなら文句を言うのだが今はそれどころじゃない。

「『青年』、ねえ今日って……」
「落ち着いて『名前』、きちんと話すから。」
「──ねえ、私ハッキリと覚えてる訳じゃないし、むしろ勘違いだったら嬉しいんだけど……1週間後って!」

半泣きの『名前』の前にいつの間にかすぐそこまで近づいていた『青年』が彼女の両肩を持ち目線を合わせた。
/ 297ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp