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【ONE PIECE】2 yars a GOLD

第11章 腕っ節のない女


「いっつも肩が痛ェだの上がらねェだの言ってるじゃんか!」
「あれは職業病というか、実際痛いのよ!」

文句を無視して言い争うリッカと『名前』。無視されたことに更に怒りで身体を震わす先頭の男。『名前』とリッカをもはや呆れの眼差しで見る男の仲間達とダブルダウンや見物している周囲の利用者たち。

「海賊出身の俺たちをバカにしやがって……」
「いっつもメシ食う度に "ごぞーろっぷ" に染み渡るとか、おばあちゃんだろ!」
「うっさいな!これでも私20代なのよ!」
「じゃあ次からおばさんって呼んでやるよ!」
「は〜〜〜!?なんでアンタにはお姉さんの選択肢がないのよ!」

尚も無視している二人に先頭に立つ、文句を言っても無視され続けている、リッカの真ん前にいる男がついに我慢の限界に達した。

「……───お、お前ら腹立つんだよっ……クソ野郎どもが!!!」

「うえ!?」
「っ!」

イライラが頂点に達した男は持っていた酒瓶をリッカ目掛けて振り下ろした。それに驚き固まるリッカ、今度こそ本当にヤバいと思ったその時だった。


……ガラスの割れる大きな音、水滴の音、しんと静まりかえった周囲。

そして……ああ、頭が、ぐわんぐわん……する。


「お、おば、さん?なんでっ……」
「……」

『名前』はリッカの前に出て立ちつくし俯いたまま、彼女の耳に声が届いてるのかも怪しいほど動きさえ感じられなかった。彼女が咄嗟にリッカに振り下ろされた酒瓶をその身で受け止めたからだ。

思い切り殴られたためか、彼女の頭皮が切れたのか大量の血とびしゃびしゃにかかった赤ワインが混ざり合い、ぼたぼたと地に落ちていく。

「……───キャーーーッ!!!」

見物客の一人が金切り声を上げた途端、それまで止まっていた時が動き出したかのように、その場に大きなざわめきが生まれた。

「警備員は?!大変だ!」
「血が出てるぞ、救急を!」

その場から逃げ出す者や慌てふためく周囲、部下らは血を見てやり過ぎたのではないかと焦り出す者や逆に興奮するものなど様々だった。ただ主犯の先頭の男だけは誰よりも興奮し、高笑いをしていた。

「ギャハハハハハ!ダッセェなぁ幹部?さんよォ、ガキのために体張って、俺たちに仕返しも出来ねえ女が調子乗ってんじゃねェよ!」
「……」
「やっとだんまりか!ああ?!」
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