第11章 腕っ節のない女
もちろん、最初こそは今後の物語に影響が出るのではないかだとか、流石にバカラさんも気づいてるのではないかと思ったが、今のところ何も問題は無い。
それに少なくとも彼がいつの日かギャンブルで大敗しゴールドプリズンに落とされるのも2年後だ。ルフィが来るのを考えると彼がそこに落とされる日は私の願いの実行日ギリギリだろう。
「お前さんのおかげで動きやすいから感謝してるさ、そうだな……もし必要ならいつでも手を貸すぜ。ここでは手に入りにくいものとかな。」
「ほう、例えば?」
「物ならいくらでもルートがある、今はなくても今後テゾーロに勘づかれたくない物の1つや2つはあるだろう?」
「気づかれたくない物……──」
私が個人的に集めている本編に関係するような世界経済新聞の切り抜き以外に何かテゾーロらに気づかれたくないものはあるだろうかと思ったがふと気づく。
──そうか。この先本格的にルフィ達に手を貸す時に、あると便利な物があるかもしれない。けれど普通に買うとテゾーロらに反逆の意思があると勘づかれる。今すぐはまだ思いつかないし、彼自身そのつもりで言っていないが彼らの手を借りる日が来そうだ。
「そうですね──その時はよろしくお願いします。」
「ああ……!、だがそれを言うのは俺じゃないかもしれないな」
「?、しばらくこの船から離れる用が?」
「本業の方で呼ばれて少し、な」
彼は映画でしか出ていないとはいえ革命軍の一員。この船に常駐している訳では無いとはわかっていたが、いざ実感すると不思議な気持ちになる。それはそれとして、彼がいない間の店の用心棒が必要になるな。
「それはお疲れ様です。となるとしばらくは部下を手配しないとですね……」
「安心しろ、俺が空けている間の代わりはもう呼んである」
「代わり?」
「あぁ昔に面倒見てやってた奴がいてな、いずれお前にも紹介しようと思っていたところだからちょうどいい」
「それは本業の?」
そう聞くと彼はもちろん、と頷いた。まあ彼繋がりならば革命軍がほとんどか。でも私に紹介したいだなんてどんな人だろう
「お前についてあまり良くない噂を聞くからな、俺たちにとってはお前は貴重だ。グラン・テゾーロ内の繋がりは失うわけにはいかない。」
「私にそれほどの価値があるでしょうか」
「本当さ、なに堅い奴じゃない。足として使ってやってくれ。」
「……恩に着ます。」