第10章 砂と予兆
彼が私とクロコダイルとを会わせようと?なぜそうなるんだろう、まあおおかたクロコダイルの感想を聞きたくてドフィが紹介したのだろうが。
「お前なら理由がわかるんじゃねェか、お前の愛人だろう?」
「まあそれは___って愛人!?」
ガタッ、と わかりやすく動揺するとクロコダイルは急になんだと目を細める
「……?あいつはそう言っていたが違うのか」
「いや、何の話ですかそれ」
「『名前』はドフラミンゴとテゾーロのモノと聞いた……言い換えればお前はアイツらのオンナってことだろ__」
「断じて違う!!!」
彼に変な誤解が完全に根付く前にと『名前』は即座に否定する。その勢いに彼は軽く驚いた。
「……なんだ突然」
「まって、待ってください。それは誤解があります!」
「あ、ああ」
「私はただの仕事仲間として、いや上司としてテゾーロとは関わっています。ドフラミンゴは彼との商売敵で、私は彼らのなんというか……両者の友好関係にというか」
この面倒くさい複雑な関係性をどういい表せばいいのか分からず、唸っているとクロコダイルは察したのか彼女の代わりに言ってくれた。
「……あぁ──つまり、お前はあの野郎に利用されたんだな?」
「そう!だから彼らのモノとかオンナとか、絶対違うし私が認めません!!!」
……とここまで言い切って『名前』は周りが騒然としていることに気づき、我に返って食事に再度手をつけた。
しばらく沈黙の時間が続き周囲も落ち着き元の調子に戻った後、クロコダイルが口を開く
「俺たちはまんまとあの野郎に踊らされたってわけだな」
「そうですね、次彼に会う時に軽く制裁しておきます」
「クハハ……何もねェお前がよく言う」
「口だけだろうと何を言ってもいいでしょう、私はただの__"人間"ですから」
「フフ……それもそうだな」
2人で軽く笑いつつ、その後軽く談笑して食事を終えた。
___
「ところで今日はどうするんです?」
「!そうだな……」
時は進んで通りを歩くクロコダイルと『名前』。
2人は食事を終わらせた後、ただ無意味に歩を進めていた。互いにハッキリとした目的がなかった為である。
ただ私は結局さっきの食事会で聞きたいことが聞ききれていない、離れる訳にはいかないのだ。
「お前に何か用はねェのか」
「!それは……その」