第9章 決意
「するるるる、このままでは後にテゾーロ様が後悔されるかと思いまして」
「後悔?ハハッ、冗談をいうな」
「……最近のテゾーロ様らしくない、正直で感情的な行動は私としても嬉しく思います。ですが取り返しのつかないことになるのは不本意でしょう?」
そういいニコニコと笑んだままのタナカさんにテゾーロは言い返さず舌打ちだけ返した。
……そういえばテゾーロは許可なく笑うことを許さないはずだ。だけども最近はあまりその姿を見ない気がする。
いや気分屋な彼だから私のみない所で大量の犠牲者が出ているのだろうな、うん。
彼による想像上の犠牲者に憐れんでいるとテゾーロと話していたタナカさんがいきなりこちらを向いた。
「それはそうとして……『名前』様」
「!はい」
「その"立場"にいるからこその立ち回りでしょうが……あまりテゾーロ様をからかわないであげて下さいね」
「……立場?」
どういう意味だと聞き返したがタナカさんは するるる と笑いまたテゾーロに向き直った
「テゾーロ様、すみません。今回の騒ぎは私と『名前』様のちょっとした"イタズラ"です」
「イタズラ?」
テゾーロが聞き返したように私もそう聞きたかったが、すぐタナカさんが振り返り ね? と微笑んだことに意味を察して、彼に合わせることにした。
ふとテゾーロの視線に気づき私はそれに呼応するように頷く。
「テゾーロ様もご存知のように多くの雑務で本業が滞っています……それは『名前』様も同じことでしょう」
「……それと騒ぎになんの関係がある?」
「『名前』様はいち早く元の状態に戻すために他の部門全てから受け入れられる雑務のほとんどを請け負っています」
タナカさんの言う通り、序盤にて『名前』が業務に追われていたように、ドフィの騒動で筋肉痛(テゾーロによるものだが)で済んだ彼女はその身でできる雑務の全てを請け負っていた。
責任を感じていたこともありそうしたのである。
「私からみて彼女はお辛そうに見えたので、一人の時間を楽しんでもらったまでですよ」
「……成程、それを私に無断でと」
「まさかここまで事が大きくなるとは思いませんでした。それは謝ります。ですがいつものテゾーロ様ならここまで深追いしないので私は___」
「タナカ」
「!……するるる 失礼しました。少し喋りすぎました。」