第2章 グラン・テゾーロ
数秒後テゾーロはふと前に向き直りショーを続けた
……動きを止めたのは気の所為だと思うけど、胸が鳴ったのは何故だろう。
「(彼の凄みに体が反応したのかな……)」
そうして、一通りショーは終わりバカラがこちらまで迎えに来た。次の場所に案内するらしい。
さっきのは気の所為だと思いながら『名前』はチャルロスに鎖をひかれるまま連れていかれた。
…
連れていかれた先はスロット、ブラックジャック……と賭け事が揃うギルド・テゾーロのメインの場所だった。
バカラは順番にその内容を説明している
さっきからそうだがどこをみても金色に染まっている。
美しくてつい見とれてしまう。
「『名前』!」
ハッとして向き直るとチャルロスが怒鳴っていた。
「すみません、つい周りに見とれて……!」
公然で罰を受けるの嫌だなと思いながら怖さに震えると父上がその場を制止した
「チャルロスやめるだえ、ここはグラン・テゾーロ。『名前』が見とれてしまうのも仕方がないだえ」
「お父上様……!?」
「?!」
__天竜人なのに……奴隷の私を庇った!?
その場にいる父上以外皆驚いた。
バカラも驚いている。
「(そんなことあるの……?!)すみません私……っ」
「い、いや違うだえお父上様!」
「……?」
ポカンとしているとチャルロスに名前を呼ばれた
「『名前』、お前にこれをあげるえ」
「えっ!?」
そういい渡されたのはジュラルミンケースだった。
……相当重い。
「チャルロス様これは一体……」
「それで暫く遊んで来い、6億ベリーあれば十分かえ?」
「6億……?!」
6億って乗ってきた船の値段じゃないか!?
それを奴隷にぽんと出せるなんて……流石は天竜人……
暫く唖然とし気を取り戻した
「ですがチャルロス様、こんな大金私……」
「?6億くらい大金でもなんでもないだえ」
住む世界がまるで違うと『名前』は察した
「いつもわちしに仕えている褒美だえ、わちし達は違う場所で遊んでいるから『名前』はそれで遊んでいろ」
「……!」
ジュラルミンケースを抱える手に力をいれる
……チャンスだ。彼らと離れられるということは情報収集もできる。滅多にないから存分に利用しなくては。
「……主のお心遣い、感謝します」
『名前』は深々とお辞儀した。