第9章 決意
「おっ!覚えててくれたんだー?嬉しいなあ」
なんと現状がこうなった忌々しいあの日……1週間前に突然私の前に現れ、いや私が見つけた爽やかな風貌の、この世界には合わない絵柄のあの青年がいた。
私の後ろに……いや振り返ってよくみるとソファにくつろいでいる。それも片手に飲み物をもちつつだ。
「……なにやってんの?」
「いやぁさすがグラン・テゾーロ、このジュースすっごく美味しいね!値段は__たっかぁ!?」
「全然話聞いてないし、それシャンパン……」
ラベルをみて通りで美味しいわけだと納得した彼はその冷蔵庫から勝手にだしたであろうシャンパンを注ぎ、ぐびぐびと飲んでいた。
呆れつつも今それどころじゃない『名前』はパソコンに向き直る
「はぁ、まあいいや……それで急に何しに来たの?また私の様子を見に来に?」
「__ぷはーっ!タダ飲み最高!……あぁそれもあるんだけど」
凄い勢いで飲み干すがケロッとした顔のまま彼は話を進める。この世界に飛ばした張本人とはいえ暇つぶし以外に私に何の用があるんだろう。
ああ厄介だらけだと彼女は大きくため息をつく。それを聞き逃さなかった青年は声を荒らげた
「やだな俺そんなに薄情じゃないよ、君のことを考えて来たってのにさ」
「私のことを考えてるならこんな時に来ないでくださいよ。タダでさえ忙しいんですから」
「そうはいうけど君ならすぐ終わらせられるんじゃない?」
彼の軽い発言に作業していた『名前』は静止し打っていたキーを強く押したまま止まる。画面には無意味にaが羅列した。
「?どうしたの、データ飛んだ?」
「……なたが……私を」
「え?」
ある程度は受け流せていた『名前』だが、彼の言葉によってずっとギリギリだった堪忍袋の緒がちぎれ『名前』は勢いよく振り返り思いの丈をぶちまけた
「___元はと言えばあなたの暇つぶしで私はこの世界に来たんじゃないですか!確かに私はルフィ達を手伝いたいと願ったけど、なんの能力も持たない人間が、いきなり飛ばされたところで何も……何も」
最初こそ怒鳴るつもりだったのに、だんだんと自分の不甲斐なさを感じて『名前』は項垂れていく。
その様子を青年は先程までとは変わって茶化さず真剣に聞いていた。
「……」
「……何もできないです」
彼女の声が少し震えた