第8章 異質
割とマジめに現状を受け入れるのがもう嫌になってきた『名前』はもうどうでもよくなってきていた。
もう私の処遇くらいどうにでもなれ、モブだからこういうこともあるんだろうもう。知らん。
勿論テゾーロも心配していたが下手に動いてドフィの気に触り現状が酷くなることを恐れ、ドフィの気まぐれを気にしつつ彼越しから彼女を気にかけていた。
つまり纏めると最初こそは『名前』とドフィのこの船での権利を賭けたゲームだったが、どちらも更に延長戦にもつれ込み規模のデカさから収集つかなくなった為に引き分け、休戦に。
その際両者が肉弾戦に持ち込んだ際の勝敗を見越し(おおかた今戦うとすれば勝つのはドフィだろう)納得いく形にした結果__
「___つまり私がお二人の共有の所有物になることで終了したと?」
「そうなるな、フッフッフッ……」
……確かに彼らの共有物になることで互いにとって納得いく形に持ち込めたのは良かったことだろう。
世界のその後を考えると、この先の物語に全く関わらない私がどうなろうと未来は変わらない。このゲームの結果で彼らのパワーバランスが大きく変わるほうが問題だ。
七武海のドフィが今失脚することもましてや七武海より上の立場であるテゾーロもルフィが来る前に地に落ちることも避けたい。
これでいい……マシだったと思うほかない。
そう考えると現状がずいぶんとマシに思えてきた『名前』は気を落ち着けることができた。
「……はぁ、もういいです。お二人が私をどう扱おうとここにいること、今の私の仕事に支障がないのであればもう言うことはありません。」
しかしこれまた打って変わって落ち着きを取り戻した彼女に対し、所有物であるのもあってか彼らはいたわらねばという気持ちが芽生えてきた。
「情緒不安定だな……おい、いつもそうなのか?」
「!そうですね……いつも通りではありますが今回は酷い……休養を考えます」
「お前らのせいだろうが!!!」
なんだろう、商売敵のはずだが2人とも仲良く見えてきた。こいつらもう何なんだ本当。
呆れ返っていると急にピクリとも身体が動かなくなった。彼の仕業だ。
「!ドフ__」
「フフフ、今回はいいが……今後は身の振り方に気をつけろよ『名前』」
「え?」
彼の手が『名前』の頬横をとおり髪を緩く掴み、彼女の視界を支配した