第8章 異質
「?どこって船に乗ってここまで来たけど」
「いやそんな規模じゃない、でしょう?」
「一体何言って……」
戸惑い振り切ろうとする彼にいつもなら私は手を離し勘違いだったと謝るだろうが確信を持っていた私はそのまま続けた
「はっきり言うと、君、この世界にとっては爽やかな"絵柄"すぎない?」
「!、絵柄ね……」
そういい彼は顔を強ばらせ、態度が変わる。もう逃げはしないだろうと思い彼から手を離した
「突然ごめん、でもあまりにもワンピースにはない姿……この世界の作者から生まれたとは思えないから」
「作者ね……流石に君なら気づくか。こんなにすぐとは思わなかったけど。」
そういいさっきから意味深なことを彼は呟いている。
文章では完全に言い表せないが……彼は『名前』が歩みを止めて声をかけたくなるほどこの世界に似合わない姿だった。
なんとか言い表すなら彼の風貌は端的にいうと爽やかな好青年。
服装もこの場には、いやこの大航海時代には合わないどちらかというと現代風のものを着用している。
ここでの 現代 はこの世界のことではなく自分自身……『名前』が元いた現世のことだ。
海賊とかではなく 青春を謳歌していそうな青年である。
……いやこんな事細かに書かずとも一文で表せるだろう。
___彼はこの世界、ワンピースにはそぐわない絵柄の姿なのだ。
「……何者なの」
「……」
今度は『名前』が彼に対して警戒した
対してふ、と微笑んだ彼は右手にある通路を指さす
「この先に良い場所があるからそこで話してあげるよ__『名前』」
「!?、なんで私の名前を」
「そらあしっかり下調べしたからね、今はもちろんアンタが現世にいた頃の全ても」
「現……!?なんで知って」
戸惑う私のことをみて彼は面白そうに笑っている
「ブラック企業で社畜をしていたワンピースが大好きな『名前』さん。でしょ?」
ドクン、と『名前』の中で現世の記憶が甦るがすぐ我に返る
「そんなことまで!?」
「君ほんとずっと波乱万丈だよね〜よくもまあ生きてられたよなあ」
無視して話す彼に更に『名前』は驚きを隠せずにいた
「どこまで知って……!ってさっきから答えになってないし!」
「そんな驚くなよ〜いいからついてきて」
そう言って彼は先に行ってしまった
「いや、ちょっと待ってよ!」