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【ONE PIECE】2 yars a GOLD

第7章 天夜叉


「……」

タナカさんのらしくない姿にぽかんとする『名前』
彼の設定に優しさは記されてない。にもかかわらずこれだけ気にかけて貰っていることがとても嬉しかった。

「『名前』様……」

少し弱ったタナカさんの声に現実に引き戻され我に返った。
本当有難いことだけれど私がここにいようが外にいようがこの先決められた運命は変わらない。

「大丈夫だよタナカさん、決して自暴自棄になったわけじゃないから。この船にいられる時間も少ないかもしれないし……お願い」
「!」

『名前』は今度は彼の手をしっかりと掴んだ

これ以上何を言っても仕方がないとわかったタナカさんはため息を一つして、彼女をエレベーターの中に引き寄せた。



「……本当に行ってしまった」

彼女がその場を去るまで見届けた他の者どもは動揺しざわめいた。
ハッと我に返り固まっていたバカラが彼女を追いかけようとタナカさんの元へ駆け寄ろうとする

しかしテゾーロがそれを制した

「辞めろ」
「っしかし、テゾーロ様__!」

反論しかけたバカラだったが主の姿を見てすぐそれを取りやめ元いた場所へ戻った
彼の顔が余りにも緊張とはかけ離れ、彼が一番驚いていることが分かったからだ

そう、この場の誰もが彼女に驚かされている。

それはテゾーロの部下だけでなく賭けを行う二人も例外では無いということ

「潔いというか良すぎるというか……」

そのうちの一人であるテゾーロはそう言うとため息つき顬に指の第二関節ををあてた

先程まで緊張していた彼もどこへやら。
彼女の去り際の一言と行動に全て持っていかれてしまい、もはや呆れている

そしてテゾーロ含め周りの者共を眺めていた片割れのドフラミンゴも『名前』に少なからず圧倒させられていた

「(変な野郎だとは思っていたが……)」

元はと言えば俺が起こした賭け事(ゲーム)、この場を支配するのは俺のはずだった。

しかしこの場の空気は所謂加害者である俺ではなく、一番の被害者であるはずの『名前』によって容易く変えられてしまったのだ。

果たして投げやりになった人間は皆それが出来るか?否、彼女は何らかの部分が変わっていることが確かだろう。


現実を直視出来ていない馬鹿かあるいは___


「(それ以上の修羅場を乗り越えてきたとでも言うのか?あのガキが)……フッフッフ」
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