第2章 グラン・テゾーロ
「明日の朝、グラン・テゾーロに着く予定だえ。チャルロス、準備しておくだえ」
「はいお父上様!」
父上が話終わり『名前』はぺこりとお辞儀をした。
「(明日の朝か……どうにかなるといいけど)」
…
その後パーティは終わり、『名前』は牢屋に入れられた。
つめたい床に凍えそうになりながらうずくまる。
前まではここに私を起こしてくれた少女もいたが、その少女は海軍から頼まれ乗せていた海軍に引き渡す子供だったらしい。
天竜人は特にその子が欲しい訳でもなかったし、下界の者を忌み嫌っていた為牢屋にいれていただけで今はもう別の船に移っている。
……まぁあの子が私と同じように紋章をつけられたり、痛い目に合わなくて良かった。
鞭をうたれて腫れた腕を擦り、嫌な記憶がわくのを抑えながら『名前』は目を閉じた。
…
そうして次の日。
目を覚ますと牢屋からでも聞き取れるほど、外から賑やかな声がきこえてきた。
「(……?着いたのかな)」
しばらくすると牢屋の外の扉が開き、チャルロスではなく、その横に付き添っている従者が来た。
「……出ろ」
「!はい」
彼は牢屋の鍵を開け、そう言ったきり一言も話さなかった。
大人しく連れていかれるままにいくといつもより着飾ったチャルロスがいた。
「『名前』!どうだえ、この指輪、この飾りは!」
「大変お似合いです。さすがはチャルロス様」
「ふぇっふぇっふぇ!」
いつも以上に似合ってないチグハグな色の宝石飾りに雑な褒め言葉を与える
その後満足したチャルロスから用意した服に着替えろと命令され、その流れで彼の使用人に更衣室へ案内された
使用人といっても中には奴隷もいる。奴隷が奴隷に身支度をしてもらうだなんておかしな話だ
身を任せていると奴隷の一人に耳打ちをされた
「大丈夫なのか?相当酷い拷問を受けたってこの前聞いたけど……」
「あぁ…」
血だらけになるほど鞭で叩かれた時のことか、それとも電流でいたぶられた時のことか。と受けた拷問を次々と浮かべる
そのどれもが二度と思い出したくもないし、経験したくない
だけど受けた恐怖を彼に言って怖がらせる必要はない。
代わりに私はにこりと微笑んだ。
「……平気、それよりそっちは大丈夫?」
「!アンタが来てから拷問は受けてない、俺達はお気に入りじゃないから」