第7章 天夜叉
「っ!?(糸でバランスを崩し──!)」
「!」
急に動いた身体に追いつけず転けそうになった『名前』を軽くドフラミンゴが支えた
ホッとしたのもつかの間、顔を上げるとドフラミンゴが恐ろしい顔で『名前』を見ている
途端、彼は手を"五色糸"の形にし『名前』に向け___
「あ……」
「──やめろ!」
「止まれ」
テゾーロがすかさず金をドフラミンゴに向けようとしたが、ドフラミンゴが糸でそれを制止させた
「!?ぐ……」
「別にこいつを殺すわけじゃねェ、お前が調子にのらない限りはな」
「!?」
ドフラミンゴは先程するフリをした手を下ろし、笑みを浮かべつつテゾーロを見る
「フッフッフッ……どうする?賭けをするか、それともこいつが目の前で泣き叫ぶのを見るか?」
「っ!……離して」
「怖がるなよ」
彼に殺される自分を想像してしまい思わず『名前』はビクともしないドフラミンゴの腕を押す
しかし、その腕は容易に彼女の手をすり抜け
逆に彼にそのまま手で背を押されてしまい抱きあう形となってしまった
「!?わっ」
「……お前はどうする?」
巻き込みたくはなかった彼女は厄介な男の腕の中、私はそいつを倒せる程の能力も勢力も持ち合わせていない。
確かにいつもの"嫌がらせ"ならばこんなに躊躇しないだろう
だが、彼女は___
「テゾーロ?」
ドフラミンゴに押され埋もれていた顔を上げる『名前』。返事が遅い私が気になったのだろうか。
それにしても離せと反抗した割には彼女は言うほど怯えているようには見えない。
状況をわかってないのか……アイツはただのバカなのか……?
テゾーロはため息をつき、覚悟を決めた
「そのゲーム……受けよう」
「!」
途端、その場は彼の言葉によっていっきに騒々しくなる
そのざわめきに今一歩追いついていない『名前』は間抜けな声を出しながら辺りを見渡していた
「(よく分からないけど兎も角、テゾーロとドフィがこうして賭けを行うこと自体珍しいってこと?……でも)」
極稀な場にいれることが少し嬉しいと同時に、何よりテゾーロが私を見捨てないでいてくれたことに内心ホッとしていた
「フッフッ、そうと決まれば話が早ェ……何で決めるかお前に決めさせてやるよ。」
「……なら、手っ取り早く決めようじゃないか」