第7章 天夜叉
「暇つぶしだ、俺が相手してやるよ」
「というと?」
「俺と賭事(ゲーム)をしようぜ、テゾーロ!」
「!?」
目を見開き固まるテゾーロ
その姿をみてドフィはまた意地悪そうな笑みを浮かべている
「(……そう来たか〜!)」
それを真横で聞いていた『名前』はひっそりと興奮していた。テゾーロは怪訝そうな顔をしつつ適当に取り繕う。
「ハハ、ハ……何を賭けられるんですか?」
「嫌そうにするなよ、そうだな。おまえが勝った時は二度とおまえに関わらねェと誓おう。だが、お前が負ければ___アイツを寄越せ」
そう言って彼は対価として……私を示した。急な展開にテゾーロと『名前』は二人して声なき声がでてしまった。もちろん驚くのは当事者の私たちだけでなく周囲の部下らも例外ではない。
「「!!??」」
「『名前』さんを?!」
「何考えてるんだ!?」
その場にいた部下は声を荒らげ動揺する、勿論幹部であるバカラやタナカさんも例外ではない。その阿鼻叫喚の様子をドフィは楽しそうに見ていた。
「おいおいエラく気に入られてるなぁ『名前』」
「なんで私!?」
「フッフッフッ……さっきの話を忘れたか?」
『名前』はハッとしてそれ以上追求するのを辞めた。そうだ、彼は私がどうとか関係ない、テゾーロに対する嫌がらせを楽しんでいるのだ。『名前』が納得し黙ったのを不審に思い、テゾーロは彼に追求した。何時にもなく強気に。
「わたしの部下に何をした」
「少し可愛がっただけだ、何がおかしい?おれは単純にアイツが欲しくなった。それだけだ」
「……」
「何をそんなに怒る必要がある?あのおまえが、いつもはそうはならねェだろ……フッフッ」
ふと、ドフラミンゴの言葉が『名前』の中で引っかかった。いつもは?ならドフィはいつもテゾーロの部下を奪っているのか。悪趣味な……いや、ひっかかるのはそれだけじゃないような。ううんと考えているとテゾーロの怒鳴り声が思考を邪魔する。
「いい加減にしろ!」
「フッフッフッ、今日はやけに口答えしやがる……いつからそんなに偉くなった?今のおまえは誰のおかげだ!」
途端、『名前』の身体が勝手にドフィのもとへと引き寄せられた。