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【ONE PIECE】2 yars a GOLD

第7章 天夜叉


だが憂さ晴らしにしては全く苛立ちが解けていないテゾーロ、そして哀れみを持った目で落ちていった貴族を見ていた部下たち。

「今の貴族の船から金品全て回収しろ、あとは海に流せ」
「「「ハッ!!!」」」

「──早くしろ!」

明らかな機嫌の悪さに慌てて彼らはエレベーターに急ぐ。彼等をエレベーターに入れる為にタナカさんは作業的に手を引いては壁の中にすり抜けさせていった。それでもテゾーロの眉間のシワと貧乏ゆすりは止まる様子を見せない、大の大人が周囲を巻き込んでいる姿を『名前』は厄介そうに遠目から見ていた。

「何があって、ああなってんの……」
「……フッフッフッ、随分不機嫌じゃねェか。賭けにでも負けたのかよ」

なんとまあ原因が分かりきったうえで……と、笑いながら歩みを進める諸悪の根源の見事な性悪さに周囲は目を細めた。テゾーロの眉間のシワが増える。

「……まだいらしたんですね」
「おいおい泣けるじゃねェか、同業のよしみだろう。そんなにおれが嫌いかよ」
「(……アンタのせいでこうなってるんでしょうが)」

なんて面倒な、と天を仰ぐ『名前』。テゾーロは一瞬の間もなく えぇ と答えた。よく見ると無理やりにでも貧乏ゆすりを止めるためか、彼の片足が微かに震えている。それをわかったうえでドフィは更にテゾーロを弄んでいるため、テゾーロの機嫌は更に悪くなるだろう。正直巻き込まれたくないのでもう帰りたい

「今のうちに帰っていいかな、お先で──」
「おい」
「うっ」

退散しようと彼らに背を向けたが出来る訳もなく、背にかけられた一声でまるで足が金で固められたかのようにその場で留まった。無視して逃げられない自分が悔しい。

「まさかまだ仕事があるとか言わねェよな?フッフッフッ」
「〜〜〜ああもう、なんですか」
「──!?、お前っ」

テゾーロはようやっと『名前』に気づき何故ここにいるんだと言わんばかりの表情で彼女を見ていた。確かにドフラミンゴと一緒に行動しながら五体満足でいるのは奇跡だろう。そんな心配も彼女は察してもいないのだが。

「あ、先程戻りました」
「……豪運だな」
「えっ?」
「テゾーロ、お前に一つ提案がある」
「提案?」

若干彼の表情が緩んだ気もしたがドフラミンゴが話しかけたことでそれも一瞬で空に消えた。ここまで来ると彼が可哀想にも思えてくるが否定はしない。
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