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【ONE PIECE】2 yars a GOLD

第7章 天夜叉


店を出ると彼は私を置いて先に行ってしまっていた。一瞬どこかわからなかったが彼の派手な格好、何より高身長の彼は嫌でも目に入る。『名前』はため息ついて彼の後ろにつくと、気疲れか体が重く感じられた。

無言の彼の後を歩く私でも、この次に向かう場所を容易に察することができる。彼を見上げた先の、一際輝くホテルが瞼を貫いた。





「──ドフラミンゴ?!」

THE REOLO に入るやいなや、その誰かの声とともに人が身を引き、一本の道が出来た。天竜人は勿論、テゾーロやいわゆる、"お偉いさん"が来た時によく見る光景なのだが、ドフラミンゴの場合は違う。彼の場合は完全に畏怖から生まれた道だった。対して元凶の彼は普段通りの表情をしている。『名前』は思わず彼に問いかけた。

「いつも、こうなんですか?」
「……あぁ」

当然のように応える彼にまたついていく。そんな私は一体何をしているんだろうと思える。周囲にいた貴族が、彼女にとって見たことのない視線を二人に向けた。これは天竜人と一緒だった時とは違う眼、違う畏怖だ。構わず平然と歩く彼に目を向ける。

「(幼少期とはいえ天竜人だったドフラミンゴは……)」

──この視線に対して今は何を思うんだろう。そう思っているとあっという間にエレベーターまで着くと地から現れたタナカさんは一瞬目を見張ったが、すぐにいつも通りの笑顔に戻った。

「お帰りなさいませ、ドンキホーテ・ドフラミンゴ様」
「いいから早く乗せろ」

そういい現れたかと思えば、壁に消えていく彼の手を取り、二人はVIPルームへと向かった。エレベーター内で気まずい時間が流れつつ、私たちはテゾーロのもとへ運ばれていく。前に立つドフラミンゴが私を見ていないのをいいことに壁にもたれ、小さく欠伸を殺した。……ふと先程の食事について思い出す。

さっき、彼は私を可愛がるとかいって誘った癖に、先に店をでて私にお代を支払わせたじゃないか。まずいことをしたと焦ったけれど、今のところ何もしてこない……もしかしてはめられた?

なんて思惑を巡らせ、彼の頭部をぼんやり見ているとVIPルームに到着し、壁からタナカさんが現れ手を引かれ外に出る。『名前』はいつも通り、彼にニコリと微笑んでお礼をした。

「今日もありがとう、タナカさん」
「いえいえお気になさらず」
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