第7章 天夜叉
「……フッ」
「!」
怒り出すかと思いきや寧ろ笑う彼に恐怖を感じ『名前』は少し身構えた。そうしたところで私はどうしようもないが。
「俺に惚れたか?」
「違っ、寧ろその逆ですよ」
だよなぁと彼は笑いつつ酒に口をつけた……全くバカバカしい。
ため息つきつつ、ふと『名前』は疑問が浮かんだ。今更だけれどワンピースに度々出てくるお酒、あれってなんなんだろう。葡萄酒?
そう考えているとドフラミンゴと目が合ってしまい、じっと彼のもつグラスを見ていたのがバレてしまった
「飲みてェか?」
「……いえ」
そういいつつ笑みを浮かべ続ける彼に嫌悪感がわきかけた。
いや、わいた。
…
彼の謎さは置いといて視線を感じつつもランチを頂きようやくその間ずっと閉じていた彼の口が開いた。
「俺がお前を連れてきたのは他に理由がある」
「!」
「なんだその顔」
ずっと黙っていた彼が突然喋ったのに私は驚いてしまい彼に怪訝そうな表情をされた。
「……いえ、気にしないで下さい」
「?まァいい、お前と一つ取引をしようと思ってな」
"取引"という言葉に『名前』は身構えた。
裏社会ゴリゴリの人だから人口悪魔の実のSMILEとまではいかないとして、やっぱり賄賂的な話だろうか。
なんて思考を巡らせていると彼は予想外のことを口にした
「___単刀直入に言う、俺とテゾーロをハメねェか?」
「!?」
たったその一言で、私の持つグラスのワインが大きく波打ち動揺を表す。そんな私を見てドフラミンゴは私を嘲った。
「フッフッフッ、やっと化けの皮が剥がれたんじゃねェか?なぁ?」
「っ化けの皮も何も元から偽ってないです!……なんでそんなことを」
「何がおかしい?」
「……(あぁ、成程)」
普通、関係の深い商売相手の仲間かつ初対面の人に向かってこんなことを持ちかけるだろうか?あまりにもことを急ぎ過ぎていないか。
否、彼にとってテゾーロは商売相手とはいえ今朝のお互いの反応を見るに上下関係は明白。戦うとなればゴルゴルの実の能力は面倒(だろう)だが、彼の勢力をもってすれば余裕だろう。
何より……ドフラミンゴはそもそも、普通じゃない。
いや、彼だけじゃない。
この世界そもそも、私の持つ普通は当てはまらないんだ。
「騒いだと思ったら……クク、急に黙ってどうした、怖ェか?」