第7章 天夜叉
「__いえ、何も」
そう言い事務的な笑顔を向けると彼は私の頭を掴み無理やり向かう方向を変えた。
「じゃ、いくぞ」
「!?」
そのまま押し出すように軽く投げ、そうされて転けそうになる私の姿を彼は嘲るように笑う。腹が立つけれど勝ち目がないので無視して歩くことにした。
こういう扱いが雑なところは天竜人の血をひいてるからなのか、それとも彼自身がそうなのか。どうなんだろう。
そう思いつつ『名前』は彼の乱暴さに溜息をつきつつ従った。
…
「……食べないんですか?」
「あァ、もう食べたからな」
連れていかれた先はこの船では極一般的なレストランだった。しかし値段に関してはかわいくない、グランテゾーロらしい値段。
無理やり私をここに連れてきたドフラミンゴ本人はテーブルに頬杖をつき私を眺めている。
無理やり連れてきて私にご馳走する割には大層つまらなそうな顔でこちらを眺めるばかりだった。
初めてもし悪魔の実の能力がもてるなら、人の心情を読み取れる力が欲しいと思った。それくらいドフィの思惑が1つもわからない。
現状がわけがわからなすぎてついに私は聞かなきゃ自分がどうにかなりそうなくらいそれしか考えることが出来なくなってしまった。
「……あの」
「?なんだ」
「なぜこんなことを?」
そう聞くとドフラミンゴは苛立ちつつも応えた
「さっき言っただろ、何度も言わせるんじゃねェ」
「正直それでもわかんないです。まだ私よりは面識のあるカリーナやバカラもいたでしょう?」
そう聞くと彼はまた苛立ちつつも答えてくれた。
「……新入りを可愛がることが悪いか?」
「そうですね、ええと……わかりました。」
これ以上聞くと彼のイライラがピークに達しそうなので辞めることにした。が、彼はそうはさせてくれない。
「何が言いたい?」
気迫ある声で彼はそう問うものの、彼の問い方は"問い詰める"に近い。嫌な予感がしつつも本心を言うことにした。
「……何故そんなにつまらなそうにするか、知りたかったんです」
「あ?」
「最初はお腹が空いているから無理やり__いや、急いでここに来たのかと思いました。けどお腹は空いていない、見るからにつまらなそうですから」
「そう見えるか?」
「とっても」
不機嫌そうな彼に『名前』は嘘をついても仕方が無いとみて正直であることにした。