第7章 天夜叉
「!あれは本当に急いでいたから……いや、そもそも私に用があるとは思わなかったので。」
そういうとドフラミンゴは納得したのかガッチリ掴んでいた手を離してくれた。なんなんだあの力は。
「ところで、もう彼とはお話は済んだのですか?」
「アイツのことか?」
「……テゾーロのことです」
「!、まぁな……お前はアイツに言うほど懐いてはいねェようだな」
一瞬ピクリと反応した彼はすぐ悪そうな笑みを浮かべている。
その笑みは人の気分を少なくとも乱すように思えた。
「何故?」
「だいたいの奴は"様"をつけてるからな」
「?貴方はお客様です。上司のことを尊敬語で呼ぶと失礼にあたるでしょう」
「……?」
全然納得していない表情。
至極当たり前のことを言ったつもりなのだが違うのだろうか?
「私何かおかしいこと言いました?」
「……フッフッフッ」
「???」
彼特有の笑いをしながら、口元に手を添えて面白そうに彼は
「いや、ヒ、フフッ稀に見る"変人"だからついな……ククッ」
「はぁそうですk__"変人"!?」
私を変人扱いしたのだ。
なんて失礼な人だろう、いやそういう奴だけども!
笑いを堪えようと必死だが1つも抑えることのできていない笑いにますます呆れ返る。原作となんにも変わらない。悪い意味で。
「本当、想像通りというかなんというか……」
「?」
彼は違和感を感じたのか首を傾げた。
そらそうだ、今の言い方だと探ってましたと言わんばかりの呟き。彼にとっては完全に見知らぬ誰かなわけだし。
私はワンピースとして漫画を知っているからね。
……ドフィ。
ふ、と普通私が知りえない彼の呼び名を心の中でのみ吐露し、彼の疑問の種を誤魔化した。
「いえこちらの話です。話を戻して……用件は?」
「!あぁ、お前を可愛がろうと思ってな」
「可愛がる?」
パッと表情を変えていつも通りのニヤけ顔で彼は大きな掌で私の頭を撫でた。少しビックリした私の身体が僅かに揺れる。
「あァ、飯にでも誘ってやろうと思ってな。アイツとは良くも悪くも世話になってる……!」
__テゾーロのことか
「ならテ……本人にされたらいいじゃないですか」
「?野郎相手と二人で飯なんざつまらねェだろ」
「それで私に?無理があr」
「__問題か?」
突如、そう言う恐ろしい声と顔をした彼にそれ以上言うのを辞めた。