第7章 天夜叉
「ではこちらの資料は持ち帰らせて頂きますね」
「えぇ、よろしくお願いします」
「では本日はありがとうございました。また後ほど連絡させていただきますね」
そして数時間後、
THE REOLO とは違い別のホテルの応接室を借りて商談を終えた『名前』は鞄を持ち、
部屋を出てとりあえず外へ出る為に歩を進めながらテゾーロとドフラミンゴのことについて考えていた。
正直……彼らのことしか今頭がない。
「それにしても……なんでドフラミンゴがここに来たんだろ」
テゾーロとドフラミンゴは敵対意識を持ちつつも商業仲間だ。
後々潰そうとしていた相手ではあるがゴルゴルの実を手に入れた経緯や能力差を考えるとむこうには逆らえないし、そのうえ裏世界でも有名な彼だから簡単には倒せない。
だが、ここはGOLDの世界
2年間何が起こるのかわからないとはいえ雲行きが不安だ。
私は今後本当に上手く立ち回ることが出来るのだろうか?
それにルフィ達がこの船に来る頃にはドフラミンゴは倒されてインペルダウンに収監されている。
あまり変なことをやらかすと原作から外れた世界になってしまうかもしれない。
__主要キャラが現れることが、
こんなに不安になることだとは思わなかった。
ピタリと前へ進めていた足を止めて目を細める。
「タイミング、わる……」
遠目からでも分かるほど、背丈のあるドフラミンゴがこちらに向かってくるのが見えた『名前』はため息を吐いた。
彼の周りの人達が気づいたと同時に恐れおののき何も言わずに道を譲っていく。そらあの見た目の男がいたら誰でもそうなるわ。
サングラスのむこうに隠れた彼の目に気づかれていないことを祈りつつ、振り返って別の道を選ぼうとしたが
「おいおいなんで逃げるんだよ『名前』」
「……ン゛ッ(もろに気づかれてるじゃねぇか!)」
笑いながらドフラミンゴは私の肩を掴み静止させた。
彼の脚の長さ的に1歩の距離が長いため私に追いつくのも相当早かった。
「お前さっき俺に気づいたのに逃げただろ」
「(完全にバレてる!!)そ、それは勘違いでは?」
「じゃあなんで離れようとするんだ」
掴む手から逃れようと足を進めようとするが一切動く気配がしない。強すぎて怖い。
「逆に何か用あるんですか」
「?お前が後でって言ったんだろうが」