第7章 天夜叉
だが彼に顔を掴まれたまま、まじまじと見られ続けるため目線をテゾーロに向ける
「(何とかしてよこの状況!)」
テゾーロは目を合わせてはくれるが立場的に言えない為、ワナワナとしつつ握りしめている拳が震えているのが見えた。うぅ、わかっていたとはいえただの知り合いではないし逆らえないテゾーロは役立たずだ。どうすれば……と考えていると先にドフラミンゴが離してくれた。依然ニヤニヤとしたままで気味悪い。
「そんな顔をしなくてもいいだろ?」
突然女性の顔を掴んどいて意味わからない事言う彼を睨む。そらあ私だって『不機嫌な』『嫌そうな』『そ ん な 』顔するに決まってるでしょ!
……なんて言える相手じゃないし彼は本誌でさえ読み取れないキャラクターだ。せめてもの抵抗としてまた近づく手を払い除けた
「!」
「申し訳ございませんがこれから商談があるので失礼します」
「おい」
「仕事なんです、貴方は商談を蔑ろにしてこの地位に来たわけではないでしょう?」
「……!?」
近づきかけた手が止まり口元の弧が消えたのを確認してから歩きだした。
少し歩き距離をとってから振り返り礼をする
「では後ほど、失礼します」
そういい長い髪をなびかせた彼女が長く続く廊下を歩いていくのを見えなくなるまで彼等は見届けた。
そうして見えなくなった頃、ドフラミンゴもといドフィが口を開く
「……なかなか面白い女を捕まえたな、なァ?」
「!、まあ少し手はかかりましたが」
フッフッフッと笑う嫌な声がテゾーロの気分を下げる
正直はやく帰って欲しいのが本心だ
「にしても傑作だっただろう?!まさか天竜人の船をブッ壊すとは随分な思い入れだなァ!?」
「!?、何故それを……」
「バレたら反逆罪、また戻ることになってもおかしくねェが……フフフ、お前にしてはだいぶ派手じゃねェか」
何重にも対策をした筈だ、どこでそれを──。そう言いたげな表情のテゾーロに対してドフラミンゴは依然気味悪げな笑みを浮かべていた、が、彼はす、と冷酷な表情をしてみせた。
「……あんまり調子にのらねェほうがいい」
「!!」
脅すように言う彼の声色にテゾーロは目を見張る。そしてすぐにドフラミンゴはまた先ほどまでの笑みを浮かべた。
「まァいい、それより面白ェ話がある」
「……私にはそう思えませんが」
彼らはその場を後にした。