第6章 絡み合い
ダブルダウンは笑ってしまったせいで更に怒る彼女を宥めながらも抑えれず笑ってしまった
「はははは!いやあれは監視者にはっ……くく」
「笑いすぎよ失礼ね!」
「いやアイツには無理だろう」
「……まあ今思えばそうね」
あぁ可笑しいと笑う彼をみてため息をついた。
確かに今思えば、本当に監視者としての技量があるのならば私に脅され追い詰められた時に
"女狐" だなんてこぼしてしまうようなドジは踏まない。
思わずだとしてもああいえば確信されるに決まってる。
だって今の歌姫としての私にそう言えば全て知ってるって言ってるようなもの。
私が疑われないようにどれだけ裏で苦労してるか……それを乗り越えている時点で私のこれからを遮ってるのには変わらないのよ!
あの子がテゾーロのお気に入りでさえなければ……問答無用で私は……私は……!
「にしてもなんで処理しなかったんだ?」
私の思考を読み取って言ったかのようなダブルダウンの問いに我に返り前を向いた
「……それは」
「お前にとって邪魔な存在ではあるんだろう?敵ではないとわかったとしても」
「そうね、彼女がいる限り私は下手に動けないもの。彼女の本心を掴めたわけじゃないから」
彼女は監視者じゃないとしても素性を知られている以上は敵になりうる存在。
今日友達まで漕ぎ着けたとはいえ裏切られるかもしれない。
なんとか仲間にしなきゃ……!
「まず立場を考えるとあの子を処理するにはデメリットが多すぎる、それに……」
「?」
ダブルダウンに細めた目を向けて不機嫌そうに彼女は言った
「貴方が……そうはさせないでしょう?」
「……」
一度こちらを伺うかのようにみた彼はすぐにとぼけて誤魔化した
「……なんのことだか」
「また今回みたいに言っちゃうんでしょ?バレバレなのよ!__あぁ、こういうところかしら……あの子の、『名前』の強さって言うのは」
「ま、俺から意見を言うなら」
ニヤリ、としカリーナと話し続けながら彼が磨いたグラスを光らせた
「お前もじきにわかるんじゃないか」
「……は?」
「じきにな」
ニヤニヤとしながらいう彼に若干苛立ちを覚えながらも呆れたカリーナは そうね、と嘲笑し返した。
「まあいいわ、絶対彼女を……どうにかしなきゃ」
「どうにかねぇ?」
「……っもう、笑わないでよ!」