第6章 絡み合い
「……どうぞ」
まあ悪いやつではないだろうと許可した瞬間、扉が勢いよく開くと同時に、勢いに驚いていると思いがけない人が現れた。
「___やっと会えた!あなたが『名前』……よね?!」
「カリーナ!?」
驚いて大声をだしてしまい口元を抑える。
そんな私を見て安心すると同時に彼女はよく知るあの口癖で笑った。
「そんなに驚かなくてもいいのに〜ウシシッ!」
「っ……!(本当にウシシだ!)」
全く別のとこで感動した『名前』は口に出したい思いをぐっと堪えて本題に戻す
彼女にはとりあえず自分の向かいのソファに座ってもらい珈琲をだした。
私も自分の分に一口つけ、一呼吸おいてから本題に戻す
「ところで、何故わざわざ私の部屋に?呼ばれれば私すぐにでも……」
「いいの!このところアナタ忙しそうだったから。テゾーロ様の今1番のお気に入りだから仕方がないわよね」
「いや全然だいじ__は?」
サラリと付け足された言葉に固まる『名前』、その様子を見てカリーナはキョトンとする。
「えっ自覚してなかったの?」
「自覚も何もお、お気に入りって」
「あ、そうか!
数ヶ月経ったとはいえまだ来たばかりだからテゾーロのことちゃんと知らないよね」
いや知らないといえばそれは嘘になるし、それどころか貴方の企みも素性も知ってるわけだけど
勿論ややこしくなる上伝わるわけもないので黙ったままでいることにする。
黙った私をみて彼女なりに解釈したのか話を進めてくれた。
「テゾーロはね、テゾーロガールズとかいう女の子達と戯れたりしてるけど、ちゃんと"お気に入り"を作ってるの。毎回期間は長かったり短かったりだけど」
「へぇ……」
「でもどの子も"お気に入り"止まり。それが愛人にまでなることは全然と言っていいほどない。」
【愛人】の言葉にステラの姿が頭に浮かんだ。
テゾーロはステラを一途に思い続けてるから愛人に誰もなり得ないのは当たり前だな
「私も一度お気に入りになろうとしたけど無理ね。彼のガードは固すぎるわ……っていうかテゾーロ趣味悪いし」
「あ、あはは……」
それに関しては同感としか言い様がない。
すぐ金にしようとするし、自分勝手だし、この船での立場使ってくるし、でもって金の像にしようとする。
そう金にしてくるのが1番やばい。
なかなかにサイコパスだ。