第6章 絡み合い
一方、テゾーロは一切『名前』のことを気にしておらず、暇な時間を潰せたので次どうしようか考えていた。
いつもならばVIPルームに向かい、上客の相手またはカモにいつもの様に絶対に私が勝つ賭け事をひっかける
しかし、余程のことがなければまずこちらが大負けすることも無いし正直バカラとダイスでまわせる。
「……いまいち乗り気がしないな」
ぼそりと呟いた言葉は床から現れる彼に拾われた
「するるる、今日もVIPルームに顔をお出しにはなられないんですね」
「!タナカ」
平然と彼に対応するテゾーロ。
テゾーロが『名前』だったとしたら今頃体を跳ねさせているだろうか。
何か用があるのかと聞くとタナカはいえいえとにこやかに返した
「ずっと労わられているのが珍しくて」
「?、あぁ『名前』のことか」
タナカはなおも にこやか に話し続ける
「はい、テゾーロ様直々に向かっているだけでも珍しいのに今やVIPルームよりも優先されてますから。」
「暇を潰すのに丁度いいからな。それにVIPルームに私がいなくてもバカラ、いやダイスだけでも充分事足りるだろう」
「そうですが__」
ハッキリと言わないタナカが癪に触ったテゾーロは立ち止まり彼を睨む。そんな彼の行動にタナカさんは驚いた。
「!」
「タナカ、何が言いたい」
彼の気迫にタナカさんは少し目を見開くがすぐに元の笑みに戻る。
「いえいえ、嬉しいんです。最近のテゾーロ様は楽しそうですから」
「楽しそう?私がか」
はい、と頷くタナカさんにテゾーロは首を傾げる
「『名前』様がこちらにいらしてから船内は着々と変わりつつあります。テゾーロ様が1番お分かりではないですか?」
「変わったこと……」
ふと、この前廊下でバカラと『名前』が話しているのを見たことを思い出す
あの時いつものバカラから想像できない緩んだ表情で『名前』を抱きしめていた……
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「__っ〜〜あぁ今日も頑張れるわ!私の毎日の楽しみ……」
「!?何言って__そんなことでいいならいつでも抱きしめて下さいねバカラさ……お姉さん」
「!!!『名前』〜っ」
「わ゛っ!」
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バカラは『名前』を妹のように扱い可愛がっていた
多少無理やりなところはあるが調子が悪そうなバカラをみることは無くなった気がする。