第6章 絡み合い
「(どうしよう……ここ本当にテゾーロの部屋だよね)」
ちらりと扉にあるネームプレートを見やるが間違いなく、テゾーロの名前が記している。
だんだん冷静になった『名前』は少ししか開いていなかった扉をしめかけにして、自分がバレないようにした。
__見たくもないが一応本当に彼なのかをみてみる。
彼女の待たぬ間に肌と肌がぶつかり合う音が聞こえ、そして見た事のあるジャケットが目に入る。
ここからだと正直下半身一部しか見えないがもう確信に近かった。
「……テゾーロ様ぁ、んん」
「(あぁ、本当にテゾーロなんだ)」
『名前』は何も言わずに扉を閉めて自室の方へ無言で向かう。
とりあえず『名前』は今起きたことを軽く頭の中で整理する。
「部屋は確認した、用があって訪れた。たまたま私はテゾーロと誰かとの……行為を見てしまった」
___あぁ言葉通り、それしかない。
相手の女は誰だろうとかそういう疑問は公式にテゾーロガールズがいる時点でお察し
だが、ワンピースはどちらかというとそういう描写は全くといっていい程無い物語。
少し戸惑ってしまうのも無理はない。
出しっぱなしの資料も戻さないまま『名前』は自室に即入りテーブルに荷物を全部置いてソファに座った。
彼女の姿はまさに意気消沈といったところ。
いや、心ここに在らずもピッタリである。
「そっか……そうだよね、当たり前だよね」
ぼんやりと天井を見上げながらそう呟く。
この前私は風俗店に潜入して実感したばかりなのに、いざ主要キャラがそうなると覚悟できていなかった自分がいるのだ。
……よくよく考えてみればレイズ・マックスも公にしていない(そらそう)があの場にいたということは利用客に違いない。少し変な気分だ。
「見れない部分を見れることは楽しいけれど、こういうことも勿論あるよね……」
自分に言い聞かせるように呟き続け、さっきの出来事が何度も脳裏に浮かび再生されるのを垂れ流しにしていた。
決して反論する気はないが、せめて鍵くらいして欲しかった、気分のいいものではない。
「テゾーロということを無視しても仕事の上司……あぁもう!なんでこのタイミングで__」
「私がどうかしたか?」
「っぎゃああああ!?」
音も立てずに入ってきていたテゾーロが来るとは思わず『名前』は今回も1m跳ねた。