第6章 絡み合い
「それじゃそろそろいくね、今日もありがとうご馳走様」
「!あぁ」
『名前』は席をたちジュラルミンケースを手に取り出口へ向かった
振り返りダブルダウンに手を振ると穏やかな笑みを浮かべ手を振ってくれた。
テンポやリッカのほうにも目を向けると
テンポはにっこりと素敵な笑顔を、リッカはふいと無視を決める。
「(やっぱりリッカと仲良くなるのは厳しいかな)」
普通は立場上、好かれること自体がありえないもの。
これが本当は普通なのだから期待はしすぎちゃいけない。
彼に対しての交流は半ば諦めた『名前』はそれ以上は何もせず店を後にした。
…
「む……思ったより時間が余ったな」
昼食を終えて『名前』は自室へ向かう途中、腕時計と彼女はにらめっこをする。
思いのほか、現地調査前に終わらせた仕事の量が多かったのか最近は時間が余ることが多い。
今入っているものは期限もずっと先だし部屋に戻ったら寝てばかりだ。
「この船は確かに何もかも揃ってるけど、やっぱり新作入荷がない限りは暇になる期間が出来ちゃうんだよねぇ」
さて、どうしようか。と悩む『名前』
「……あっ、そういえばテゾーロに用があったわ」
『名前』は昼食前にまだ未定ではあるが取引先と会っていた。
テゾーロが今まで時間を割いて全ての企業に対し会っていたのだが、事務作業に徹する私が受け持つことになったのである。
私がとりあえず説明を受け、どう考えてもダメなもの以外は私が彼の元へ行き伝える。
あとはテゾーロに判断を任せ彼がもう一度確認に会いやっと決まるのだ。
現時点は第2段階、私だけじゃ許可は出来ないし彼の意見を聞かなければ。
鞄から貰った資料を取り出し自室を通り過ぎて彼の部屋に直行する。
ヒールの音を鳴らして『名前』はテゾーロの部屋前まできた。
「……失礼します」
こん、とノックをし少し扉を開けた瞬間
「___あんっ……」
「!?」
今起きたことに驚きすぎた『名前』は扉に手をかけ開けた最中でピタリと固まってしまった。
今のって……え?
まさか、と信じ切られずにいたが続けてまた
「あぁっ……そこ……」
『名前』にとって確信に繋がる声が聞こえた。
__あっ、コレは完全に喘ぎ声ですわ
と。