第2章 グラン・テゾーロ
「!?(なにかえ?!今の身の毛のよだつような感覚は……!)」
「!?(何故今わちしは奴隷に恐れを……?)」
父上の従える奴隷も凄みに恐れてうろたえた。
鎖が揺れ擦れた音がする。
その場の空気を壊したのは父上だった。
「と、とにかく!そいつに印をつけるだえ!」
「!はいお父上様、お前笑ってないで早く来るだえ」
「!は、はい」
天竜人は急ぐように『名前』の鎖をひいた
とうの本人はその場の空気を自分が変えたことに気づかず、鎖をひかれるがままについていった
「(気をつけなきゃって思ってたのに、笑ってたんだ……)」
『名前』はふぅと息をつく
連れていかれた先は拷問部屋のような場所。
印をつけるための鉄器具の他に、残虐な想像をさせる器具があちらこちらにある
思わず息を呑んだ。
「ここに膝をつけ!」
声に驚きうろたえていると周りにスーツを着た天竜人とはまた違った人達がいるのに気がついた。
作中でシャボンディ諸島……初登場時にいた、天竜人に奴隷とはまた別にいる従者だ。
抵抗すれば無駄に暴力をふるわれることを悟り大人しく跪く
「(もう今更遅いけど、私ハンコックや魚人とかとは違うしもしかしたら死ぬんじゃないだろうか)」
そんな心配もよそに、天竜人は器具を持ち私に向ける
「さぁいくだえ……」
「!」
鉄の焼け焦げた匂いが鼻をつんざく。器具の匂いかこれまでの焼けた血の匂いか。
『名前』は目を固くつぶり痛みを覚悟した。
……そういえば、送信したあの願い。
言い換えればワンピースの世界に来たい、になるなぁ
お金持ちも運が良くなりたいことも願ったのに叶ってないけど、こんな叶い方どうなんだろう
いつのまにか着ていたボロきれのような服を従者らにめくられ背中が露わになる。微かに寒さに震えた。
瞬間、それ以上の熱さが背中にあたる
「っ……!!ぐ……ぅ、あ……!?」
「ふぇーふぇっふぇ!その顔をみたかっただえ!」
天竜人の声がちゃんと聞こえない
それよりも痛すぎる熱さに身をよじらせ頭を支配される。
しかしこの痛みはこの世界では当たり前なのだ。
痛すぎてでた涙をみられたらそれ以上に何かをされてしまうと思い顔を地に擦り付けて隠した。
「っぐぅ……!っがぁ……!」
周囲の笑い声にふつふつと憎しみが湧く
絶対コイツらに仕返ししてやる……!