第8章 眠れぬ夜の特効薬*白澤*
「やっばい!!!!」
慌てて服を着て、肩まで長い髪をひとつに纏める。
「遅刻するとあの鬼上司にしばかれる・・・!!!」
「誰が鬼上司ですって?」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・やばい。
これ、後ろ振り向かなきゃダメかな?
めっちゃ怖いんだけど。
え?なにこれ?ホラーかな?
恐る恐る振り向くと
鬼上司が仁王立ちして私を睨みつけている。
乙女の部屋のドアを勝手に開け、しかも無断で入るなんて・・・・
しかもここ女子寮でしょ!?
鬼灯様入っていいの!?
「お、おはようございます・・・・・」
ひきつった笑顔でとりあえず朝の挨拶をする。
鬼灯様は相変わらず仏頂面だ。
「おはようございます。閻魔大王からの伝言を伝えに来ました。」
「え?」
コホンッ
「ちゃん。最近お仕事頑張ってくれてるから今日はおやすみでいいよぉ〜。ゆっくりしてねぇ〜。」
普段のハスキーボイスからは予想もつかないような間抜けな声をだす鬼灯様。
これは・・・・・
「閻魔大王の真似をしてみました。似てますか?」
「全く似てないです。」
間髪入れずにツッコミをする。
「少しは似ていると思ったのですが・・・練習あるのみですね。」
「鬼灯様はどこを目指してるんですか・・・」
「それでは、私はこれから仕事ですので。また。」
「あ、はい。頑張ってください」
「ありがとうございます。ゆっくり休んでください」
そういうと、彼は閻魔庁のほうへと向かっていった。
さて・・・なにするか。
寝なおそうとも思ったが、鬼灯様の心臓に悪そうなご登場のせいですっかり目が覚めてしまった。
「あ、そうだ。頭痛薬切れてたんだった。」
善は急げ。寝間着からいつもの服に着替えると
中国の神獣。白澤のいる極楽満月へと向かった。