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鬼灯の冷徹 *短編集*

第8章 眠れぬ夜の特効薬*白澤*



「ごめんくださぁい」

極楽満月に着くと、白澤様が女の人をナンパしている所だった。

女性の手を握り、次々と歯が浮くようなセリフを口にする。
カウンターの後ろにいる桃太郎さんは慣れたのか、呆れる事もせず、黙々と薬をつくっている。

と、どうやらナンパに失敗したらしい。
女の人は困り顔をしながら私の横を通りすぎ店から去っていった。

「あ!ちゃん!いらっしゃい!」

そう言うと彼は私に抱き着こうとするが
私はそれを華麗によける。

「ちゃんったら恥ずかしがり屋さんなんだからー」

「こんにちわ。。白澤様。いつもの頭痛薬おねがいします。」

誰が恥ずかしがり屋さんだこの野郎
というツッコミをそっと胸の内にしまう。
ツッコミをするといつまで経っても本題に入れなくなってしまうから

「あれ。もう無くなっちゃったの?あんまり飲みすぎちゃ・・・・」

そう言いかけて、彼は私の顔をじっと見つめた。

「ちゃんクマが酷いけどちゃんと寝れてる?」

「え?あぁはい。まぁ・・・」

「嘘。」

「こんなことに嘘ついてどうするんですか・・・」

「ちゃん。僕には君よりたくさんの目があるんだよ?嘘なんてすぐに見抜ける。」

くっそ。無駄に神獣の力使うわね・・・

「最近、あまり寝てません。」

「やっぱりね!」

ドヤ顔でそう言う彼に
金棒を投げたい衝動に駆られた。
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