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鬼灯の冷徹 *短編集*

第1章 ヤキモチなんて*白澤*


白澤に腕を掴まれたまま、道を小走りに進む
この道は……多分、地獄の門に続いているのだろう。

……このまま帰ってたまるか。

精一杯の力で白澤の手を振りほどく。

「………?」

「……気安く名前を呼ばないで」

自分でも驚くくらい冷たい声が出た。
白澤がこちらに手を伸ばしてくる

「さわらないで!!」

白澤の手がの顔の近くで止まる。

その手で…いったいどれほどの女性と手を繋いだのだろうか。
そんなことを考えると涙が止まらなかった。

「……帰ろう?」

「嫌よ。浮気もんのところなんかに誰が帰るものですか!!…女癖直すとか言っといて一向に直す気配はないし!彼女の私がいる目の前で女の子をナンパするし!終いには家にまで連れてくるし!いくら温厚な私だってこんなことされたら黙ってないわよ!」

今まで溜めていた不満を全て白澤にぶつける
あぁもう終わってしまうのだろうか…
こんなこと言ったら絶対にめんどくさがられる。

白澤の方を見ると………笑いを一生懸命こらえてちた。

「な、なに笑ってるのよ!!」

「え?…あぁごめんね」

…全然謝っている感じがしない。

「だって…がかわいくて……つい」

「はぁ!?」

「まさかこんな簡単に引っかかってくれるなんて…ふふっ」

「………はぁ?」

全くもって話がみえない。
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