第5章 金魚草のない花屋❇︎鬼灯❇︎
それから二週間後。
あれから、鬼灯様はうちの店に来ていない。
この間のこと、謝らなきゃ行けないのに・・・・。
店内には、鬼灯様のためにあしらえた色とりどりのキンギョソウがさみしそうに並べられている。
「はぁ・・・・・・・・・・」
今日何度目のため息だろう。
お客さんもいるのになにしてるんだか・・・・・。
「ちゃん元気ないわねぇ?大丈夫?」
そう声をかけてくれたのはみんな大好きお香姉さん。
あぁ、相変わらず美人さんだ・・・。
「大丈夫ですよ。」
嘘は苦手だが、人様に心配かけるわけにはいかない。
「そう?でもさっきからため息ばっかりよ?・・・・・もしかして『恋』かしら?」
こい・・・・・・・・・・恋・・・・・・・・・・・・・・・?
瞬間、かぁっとの顔が赤らむ。
「あら、図星かしら?」
「ち、違います!!!」
慌てて否定するが、お香さんはにこにこ・・・・・というよりかはにやにやしている。
「そっかぁ。男っ気がなかったちゃんがねぇ・・・」
「ちょ。あの。誤解!」
まぁ確かにここ2週間は鬼灯様のことばっかり考えていたけれども!決して好きとかそういうんじゃ・・・・・・・・・・
そういうんじゃ・・・・・ない?のかな?
「・・・・・お香さん。これって・・・恋なんですかね?」
「ふふ。自分でゆっくり考えなさいな。」
そういうとお香さんは百合の花束を買って帰っていった。
恋・・・・・・・・・・か。