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鬼灯の冷徹 *短編集*

第5章 金魚草のない花屋❇︎鬼灯❇︎


どさくさに紛れて名前を聞いてみたが、なかなか思い出せない。

「確かにどこかであったのになぁ・・・・」

ふと、時計を見ると時刻は21時過ぎをさしていた。

「今日はもう店じまいかな。」

そういって立ち上がる。

外に出ると、遊女が艶かしく道を歩き、それに釣られるかのようにして男性たちが次々に店に入っていく。

向かいの飲み屋では仕事の疲れを癒しに男どもが酒を交わし、賑やかな雰囲気がこちらにも伝わってくる。

それを横目に店のシャッターを閉めた。

今日もたくさんお客さん来たなぁ

なんて思いながらなんとなくテレビをつける。

今の時間だとニュースしかやってないか・・・・

適当にチャンネルをまわしていく。
すると、聞き覚えのある声がテレビから流れた。

ん・・・?この声・・・・・。

そこにはこの地獄を治める閻魔大王がなにやら難しいことを話しており。その隣には・・・・・

「ほ、鬼灯さん!!??」


あっ・・・!
思い出した!!

「あのひと閻魔大王の補佐官じゃん!!!うわぁぁ!!
え?うちの店に?なんで閻魔大王の補佐官が!?なんで!?いや、ていうか私今日あの人になにか失礼なことをしてないよ・・・・・」

そこでフラッシュバックされるのは、転びそうになったを受け止めてくれた鬼灯の姿だった。

「うわぁぁぁぁぁぁぁあ!!!!やっちまったぁぁぁぁぁぁぁあ!!!!」

終わった・・・・・・・・・・うちの店・・・終わったよ・・・・・・・・・・。

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