第1章 ここ……どこ
とりあえず今わかってるのは、
何故か髪色が白いこと
ここがどこかわからないこと
何故か圏外なこと
何故か夜なこと
こせいとかいう訳の分からない力が存在すること。
目の前の男がちょっと怖いこと
……つまりなんにも分かってない
それに待って、つまり私どうするの
帰る場所無いってことじゃん
今更気がついた現実に徐々に青ざめる。
「家の場所が存在しなくて個性って概念を知らない、と。お前なんかの病気か?認知症的な。どこに帰んだよ」
それ今思ってたとこ……タイムリーですね……
「分からないです……けど、色々教えてくれてありがとうございました……あとは自分で何とか…します……ので」
力無く答えてゆっくり立ち上がる。
本当はものすごく不安だし、これからどうしたら良いかも分からない。
でも、見た目と違って思いのほかいい人だったこの人に迷惑かけられないし、未だにちょっと怖いし。
小さく会釈して立ち去ろうとした。
「……なぁ」
呼び止められて足を止めてしまった。
「帰るとこねぇんだよな」
「……」
「なら俺と来いよ」
「…………は?」