第1章 ここ……どこ
本当のこと。
気がついたらここにいて、ここがどこかも分からない。
自分でも何言ってるか分からないが、相手もそうなのだろう。
「……気がついたらって」
怪訝そうな顔をして、質問を重ねてくる。
「家は」
「〇〇県▷町です」
「ンなとこ聞いた事ねぇな。学校何処だよ」
「××高校…」
「年齢」
「15?」
「名前」
「椎名夢歌……です」
「個性は」
「……こせい?」
色々な質問に答えていくと、唐突な意味不明な質問に首を傾げる。
……私どうして初対面の見るからに怪しい人にこんなに個人情報喋ってんだろ。
や、それより……
こせいって何。
こせい……コセイ……kosei……
どれだけ頭をひねってもよく分からない。
最終的に“こせいってなんですか…?”と恐る恐るきくと、男は“は?”と言う顔をした。
何言ってんだこいつ、と言うように。
え、常識なの…?
わからない私がおかしいの…?
「個性を、知らねぇ……?」
「……?」
何か考え込み始めた男。
ちょっと、いやかなり不安。
何かこの人の気に触ることを言ってしまったのだろうか。