第1章 ここ……どこ
「ぇ……」
「……」
声も出せない私を見下ろしてくる男。
にしてもこの人……堅気の人…?
改造人間とか、とりあえずやばめのことしてそうとかそんな感じでとにかく怖い。
何があったら顔に謎カラーの継ぎ接ぎが出来るの。
こんな冷たい目が出来るの。
場所だってこんな夜中(多分)の路地裏だし……
……殺されたり
勝手な想像で勝手に震え上がる。
「喋れねぇのかよ。何してんだって聞いてんだけど」
男は若干イラついたように近づいてくる。
私の正面に来たところで、怖くなって目をぎゅっと瞑った。
「……んな怖がんなよ」
はぁ、とため息が聞こえて恐る恐る目を開くと、正面で屈んだ男と近距離で目が合った。
「別にとって食ぃやしねぇ。ただこんな時間にお前みてぇなガキが何してんのか気になっただけだ」
そう困ったように頬を掻く。
そのどこか子供みたいな仕草に僅かに緊張が溶ける。
「わ……からない、です。気がついたらここ、に」