第4章 歌
「だだ大丈夫ですありがとうございますっ」
「?」
シュバッと音がしそうなスピードで離れた私に首を傾げる荼毘さん。
なんだ天然なのか轟君と兄弟説あるけどマジなやつなのか……
「そ、それにしてもここ危ないですね!急に瓦礫が落ちてくるなんて、拠点変えた方がいいんじゃ……」
「お前がやったんだろ」
「……へ?」
言葉が飲み込めなくて少しフリーズする。
「それって、どういう……」
「気づいてなかったのかよ」
荼毘さんに“はー”っと盛大なため息をつかれた。
解せない。
「お前の歌のせいだ」
うた……歌?
目を見開いて2度目のフリーズ。
もしそれが本当なら……私の個性って
“歌”だった?
「歌ってる時その髪、黄緑になってた。で、周りの瓦礫が浮いて……」
“たぶんあれは元に戻ろうとしてた”
荼毘さんよく見てるな……
なるほど、それで途中で歌を辞めたから中途半端な位置まで浮いてしまった瓦礫が落ちてきたってこと。