第4章 歌
俺が数日前拾った白髪赤目のガキ。
普通に学校通って生きてりゃまず来ることの無い路地裏深くにいたそいつは、場違いに美人だった。
気が向いて声をかけてみればすげぇ怯えられて、とりあえず何でここに居んのか聞いてみれば“わからない”なんて言う。
学校の名前も住んでいる家の場所も存在しないし制服も鞄も見たことない物。
で、一番疑問に思ったのが“個性を知らない”こと。
この世界で生きてるなら、たとえどんな重箱入り娘だろうが知っているはずのこと。
なのにその目は嘘をついているようには見えなかったから、気になってしまった。
らしくもなく気分転換とか生活の変化的なものを求めて色々世話焼いて。
流石にずっと構うのも面倒だったから自由行動を許可すれば疑った目で見てくる。
だが、俺が出かける時と帰ってきた時。
ちゃんと約束守って毎回居るガキは、俺が長らく聞いてなかった言葉
“いってらっしゃい”
“おかえりなさい”
を言ってくる。
まぁ、悪くないと思った。