第3章 エンカウント
「へぇぇ……サーってそこまでオールマイトの事が……言っちゃダメたけど引くレベルだ……」
ショッピングモールには休日に来るようになって(と言ってもまだ一回目の土日だけど)ヒーローの本も4分の3ほどまで読み終わった。
ヒーローの本には、原作では描かれていなかったヒーローのことも事細かに書いてあってそれはもう大変面白い。
夢中になりすぎて周りに意識が向かないほどに。
「あ、あの…」
「……」
「す、すみません!」
「……?」
近くで話しかけられた気がして顔を上げる。
上げて、
静止した。
「突然ごめんね!それって“ヒーローの全て”シリーズの最新刊だよね!?僕もヒーロー大好きで――――」
私に熱心にヒーローについて語るその緑頭君。
まさかここで……
見たことある、ありすぎるよ君
“僕のヒーローアカデミア”の主人公、ワン・フォー・オールを受け継いだあの――――
「あっご、ごめん!いきなり……」
静止している私にようやく気がついたのか、焦ったように眉を下げて謝ってくる少年。
――――緑谷出久。