第3章 エンカウント
ギクリと肩を震わせて顔をあげればそこには笑顔の警察官。
とりあえず“まずい”と思った。
警察がこんな質問をしてくるってことは今日は多分平日で。
なのに見た目年齢15歳前後の女の子が1人でショッピングモールで本を読んでる。
完璧不良じゃないですか。
このまま連れていかれて親を呼ばれるなんてことになったら、そんな人が居ないことがばれてしまう。
そうなったら保護されちゃう?
絶対嫌。
そこまでを1秒にも満たない間に考えた私は、ニッコリ笑顔を作る。
「私中卒なんですよ〜。最近は仕事のおやすみ沢山頂いたので、ここに」
おかしくはない、はず。
トガちゃんも確か中卒だったし、この世界にもこの位の年齢から働いてる人だっているはず…!
顔は笑顔のまま、内心冷や汗ダラダラで警察官の人の次の言葉を待つ。
警察官相手って悪いことしてなくても緊張する……ヴィラン様の知り合いってだけで悪いことしてるってことになるのかもだけど。
「そうかい。そりゃ悪かったね、仕事頑張りなよ」
「はい。ありがとうございます」
やった……
納得してくれたのか、警察官の人は意外と簡単に解放してくれた。
解けた緊張にほっと一息つくと、私は本を持ったまま立ち上がる。
そしてそのままショッピングモールを出る歩き出した。
今度はちゃんと休日に来ようと心に決めて。