第2章 荼毘
手鏡を棚に戻してから振り返ると、そこにはニヤリと嫌な笑みを浮かべた眼鏡のおじさんが。
あれ、この人……
「見ない顔だね、いつ頃ここに来たんだい?」
「え、と……昨日…?」
「昨日、ね。ここを知ってるってことはお嬢ちゃんも裏の人間かい?それとも……」
“迷い込んじゃったかな”
そう、どこか冷たい笑みを浮かべたまま手を伸ばして来る男に、知らず冷や汗が流れる。
だんだん近づくその指に、笑みに、ぎゅっと目を瞑った。
「おい」
この世界での唯一の知り合い(?)の声がしてゆっくり目を開くと。
荼毘さんが眼鏡のおじさんの腕を掴んでいた。