第2章 荼毘
何今の……
ドッキリ……って言うか、ちょっとゾッとしたと言うか…
言うなれば鏡相手にじゃんけんして勝っちゃったーみたいな……
……違うか
とにかく。
1度落としかけたそれ――――手鏡の裏面を真剣にみつめて、
意を決して裏返した。
「わ……」
そこに映っていたのは、何をどう見ても私の知っている私じゃなかった。
初日に気づいてたけど、セミロングの白髪の時点で既にかけ離れてる。
でもそれ以上に驚いたのは、瞳が紅いってことで。
何これ……
それになんていうか可愛い。
自画自賛みたいになるけど、なんか可愛い。
まつげ長いし、色白だし、小顔だし
何これ、トリップ特典みたいなあれ?
もろに私の好みを反映してくれてるあたり、もし私をここにトリップさせてくれた人がいたとしたら崇め奉ってお礼を言いたいレベル。
思わず自分(の容姿)に見とれて手鏡を握りしめる。
青山くんみたいなんて言わないで。
「おや、こんな所にこんな若い女の子が珍しいねぇ。お嬢ちゃん1人かい?」
背後から急に聞こえた声に、また手鏡を落としそうになった。