第2章 1
ホワイトが去っていったあと
ヘッドホンを耳に掛け音楽を聴いていれば
「海依。」
微かに聞こえた声に
ドアの方を見ればアンナが立っていた
ヘッドホンを耳から首に下げ
「アンナどうしたの。」
と聞けば
「葉が黄泉の穴へ入って行ったわ」
と一言
「そう。」
葉なら乗り越えられる
きっと。
「あんた、シャーマンファイトに参加してたのね。」
私の腕についてる水色のオラクルベルを見て言うアンナ
「あ、うん。目的があってね。」
「ふうん。で、一次予選の試合は?」
まっすぐ私を見る瞳
「もう3戦3勝したの。だから、帰省してきたってわけ。」
「そう。うちの葉はね、あれでも結構強いほうなの。なのにあんたの巫力は最初から葉よりはるかに上回っていた。そんだけの巫力を持っていながらなぜここに修行しに戻って来たのか知りたかったの」
(うちの葉)か。
修行しに来たことまでお見通しなのね。アンナには。
「私はまだ弱いもの。こんなんじゃ、シャーマンファイト本選は勝ち上がれない。あいつには到底かないやしない」
そう、あいつには。
1000年前の私‥‥‥いや、夜桜が愛した男には。
当然、今の葉も。
「葉が勝ち上がれないって言ってるの?」
「今の葉がそこまで強いとは私には思えない。葉だけじゃない。ファウストや道蓮もね。」
今の彼らじゃ、シャーマンキングなんて夢のまた夢よ。
「ふうん。全部知ってるのね。」
「ええ。小山田まん太の存在もね。」
霊のみえる人間。
葉にできた始めての人間の友達。
「あんた、シャーマンキングになる気ないのね」
そう。
あたしがシャーマンファイトに参加してる理由はシャーマンキングになるためじゃない。
「シャーマンキングは葉の夢だもの。」
「夢じゃないわ。葉はシャーマンキングになるのよ。」
まだあなたたちはわかってない
シャーマンキングになるホントの意味を‥‥‥