第2章 高級寮
「・・・・。」
クラトスはさっきかけられた水をハンカチで拭きながら
黙ってアンジェリカ先生を見ている
「クラトス・・さっきは大丈夫だったのか?」
「?」
「生徒たちにかけられた水・・・
かかった箇所の皮膚が、溶けてるようにみえたぞ?」
「あぁ、溶けた。
だがすぐに治る。
・・それに、あの水が〝薄い〟から何も心配する必要ない」
「薄い?」
「聖水の濃度がな・・・。」
聖水
それは水に光魔法・聖を混ぜた特別な水
聖水は主に呪いを解呪するときに使うもの
そして吸血鬼にも効く
彼らは肉体ごと闇に染まった者たち
だから、その体に聖水は猛毒で、一滴でも触れれば爪も骨までも溶けてしまう
だが、クラトスは皮膚だけですんだ
それはきっと、かけられた聖水に含まれている光魔法の割合が少なかったからだ
クラトスの溶けかけていた皮膚はすでに回復しつつある
その時、俺はフッと思った
さっき、アンジェリカ先生がクラトスの手を見て
〝薄かったからいいものを〟と言っていた
アンギェリカ先生はクラトスの吸血衝動を抑えるために治療を施している
つまり、クラトスの裏の事情を知っていることになる
そして、昨日クラトスはアンジェリカ先生の話をすると
〝あいつ〟と言っていた
・・・もしや、この二人は〝同じ〟なのか?!
いや、まさか・・・
俺の考えすぎだろ
考えすぎ・・で、あってほしいな・・・。