第1章 特別授業
「デリック、今日はどうする?」
「俺たちと飲みに行かないか?!」
クラスの男子が俺にかけよって話しかけてくる
こいつらが言うことはいつも同じだ
魔法酒を飲みに行くか、女と遊ぶか・・宿題手伝わせるかのどれか。
俺はそういう事に興味はない
だから、いつも断っている
「あー・・わりぃ、俺今日先公に呼び出されててよ・・。
ほら、最近成績が悪いだろ?」
ありもしない嘘を、笑顔で返す俺。
誰でも気づくような嘘を、こいつらは気づかない
「マジかよー」
「んじゃ、また今度な!」
そう言って俺は逃げるように教室をでた
一日の授業が終わり、やっと自分の好きな事ができる時間がやってきたんだ
誰にも邪魔されるわけにはいかない
「デリック・ハインツレイド」
「?」
俺は自分の名前が呼ばれたことで、反射的に足をとめてしまった
振り向くと、学校の渡り廊下に、見慣れない服を着た少女が立っていた
「あなた、やっぱりそうね。」
ニヤニヤした表情でじーっと俺をみつめる少女
その服装は一度授業で見たことがある
外の世界で学生が来ている制服・・ブレザーにチェックのミニスカート
「なんだ、お前・・高校生ってやつか?
・・・いや、だとしたらどうやってここに入れた?」
不審がる俺は、らしくもない質問をした
こんな怪しい少女、ほっておけばいいものを・・。
「あたしの姿が見えるってことは、あなたもラディゴーファイスなのね」
「ラでぃゴー・・・はぁ?」
一度聞いただけでは言えない言葉をいいだした
それが、俺だって?
「時間がないから、手短に言うわ。
今からあなたは家に帰ってはダメ、あたしと別れてからはここにいなさい」
「・・いきなりわけわからねぇ事いいやがって。
お前の指図をうける覚えなないな」
「これはあなたのためよ。
悲しいことは嫌でしょ?」
「悲しいことだと?」
「あなたも、あたしも生きている世界は違っても同じ人間。
賢く生きていきましょうよ。」