第2章 高級寮
俺は気になっていた
クラトスの事が・・・
こういった奴と出会うのは初めてだし、本当に〝吸血鬼〟がいたのも驚きだった
「・・・・・。」
クラトスはあまり治療魔法含め、自分の過去の事の詳細については話そうとしなかった
昨日は進んで話してたのに・・。
「話したくないのはわかってる・・けど、これから一緒に生活していく仲だ。
お互いの事を知っておく必要があるだろ?」
「・・・そう、だな」
クラトスはそういって上着を脱ぎだし、上半身だけ裸になった
「えっ・・おい?!」
「これが定期的にほどこしている治療魔法だ」
クラトスの上半身全体に広がっている金に光る刺青
その模様は草木が体に巻きついたようで、クラトスの体を縛ってるようにも見えた
「大魔導師のアンジェリカさんにつけてもらった治療魔法だ・・これを体に埋めつけておけば、吸血鬼としての生活ではなく、人として生活できる。
まぁ、それは最低限の生活だけだがな」
「大魔導師アンジェリアって、あの医療魔法使いのエキスパートの?!」
「ああ。」
俺は驚きを隠せなかった
大魔導師アンジェリカさんはエコール・マジックで医療魔法を得意とされている大物だ
主に授業は医療科を専門とし、解呪、解読、解毒、傷口再生・・・噂では蘇生まで出来ると言われている
この人がいて、今のエコール・マジックは成り立っているといっても過言ではない
そして、アンジェリカさんは何故か弟子をとりたがらない
普通、大魔導師は後世に自分の魔力と技術を授けるために弟子をとる
そうして師匠から弟子へ、そのまた弟子へと魔法は受け継がれ、魔法の技術は進化していく
けど、アンジェリカさんはそうはしない
むしろ、誰も寄せ付けない人だ
生徒も、知人も、同じ教師も・・・
そんな謎の多い人の治療を、クラトスは受けている
しかも定期的に。
羨ましさが、俺の心の中にあったんだ